法律トラブルに直面した際、弁護士と司法書士のどちらに依頼すればよいか迷うことがあるかもしれません。
それぞれの専門家には異なる役割や権限があり、対応可能な案件の範囲にも違いがあります。
この記事では、弁護士と司法書士の違いや主な業務内容、費用の比較、適切な依頼先の選び方について詳しく解説します。
迷った際の参考にしてください。
あなたのケースに適した専門家を見つけることで、スムーズに問題解決を進めることが可能です。
それでは詳しく見ていきましょう。

弁護士と司法書士の違いとは?
弁護士と司法書士はどちらも法律に関わる仕事を行いますが、対応できる案件や法律で認められた権限には大きな違いがあります。
このセクションでは、権限、案件範囲、資格の難易度について比較してみます。
法律で認められる権限の違い
弁護士は、法律に基づいてあらゆる法律問題に対応できる「法律のプロフェッショナル」です。
一方、司法書士は特定の法律業務に限られた権限を持つ専門家で、不動産登記や会社設立手続き、簡易裁判所での代理業務などが主な業務範囲となります。
弁護士は裁判所での代理や高度な法律相談も可能ですが、司法書士は140万円以下の金銭トラブルに限り代理が認められます。
また、刑事事件への対応は司法書士では対応できません。
取り扱える案件の範囲の違い
弁護士は民事・刑事を問わず、幅広い案件を扱えます。
例えば、離婚問題、相続、刑事事件の弁護、企業法務など、多岐にわたる法律問題に対応可能です。
一方、司法書士は主に不動産登記、商業登記、遺言書の作成支援など、特定分野の法律業務に特化しています。
特に金銭トラブルの対応において、司法書士は140万円以下の範囲でしか代理業務を行えないため、それを超える問題は弁護士に依頼する必要があります。
資格取得の難易度の違い
弁護士になるためには司法試験を合格し、その後司法修習を経て法曹資格を取得する必要があります。
日本の資格試験の中でも最難関とされ、受験までの道のりも長いのが特徴です。
司法書士試験は弁護士資格に比べると難易度は低いものの、法学の知識を広く深く理解する必要があります。
さらに、認定司法書士となるためには、別途研修を修了し、簡易裁判所での代理業務に必要な試験にも合格しなければなりません。

弁護士と司法書士の主な業務内容の違い
弁護士と司法書士の業務内容には重なる部分もありますが、それぞれ得意とする分野が異なります。
このセクションでは、主な業務内容と共通点について詳しく見ていきます。
弁護士の主な業務内容
弁護士は、法律相談、民事・刑事事件の代理、企業法務など、幅広い業務を担当します。
裁判所での弁護活動はもちろん、契約書の作成やリーガルチェック、複雑な相続問題への対応も行います。
企業の法務部門と連携して業務を進めることも多く、特に大規模な訴訟案件では弁護士が不可欠です。
また、刑事事件では被告人の弁護を担当することもあります。
司法書士の主な業務内容
司法書士は、不動産登記、商業登記、簡易裁判所での代理業務が主な業務内容です。
遺言書や遺産分割協議書の作成支援、会社設立手続きなども得意としています。
また、認定司法書士は、140万円以下の金銭トラブルに限り、代理業務が可能です。
これにより、債権回収や簡易裁判所での和解交渉なども行えます。
共通する業務内容
弁護士と司法書士の共通する業務には、遺言書の作成支援や不動産登記のサポートがあります。
ただし、業務の深さや権限の広さに違いがあります。
例えば、不動産登記では、司法書士が書類作成や手続きを専門とする一方で、弁護士は関連する法律トラブル全般にも対応可能です。
このように、業務の共通点があっても対応範囲には差があります。

弁護士と司法書士の資格や権限の違い
資格の取得過程や業務上の権限も大きな違いを生む要素です。
このセクションでは、それぞれの資格の特徴と認定司法書士の権限について解説します。
弁護士の資格の特徴
弁護士資格は日本の法律資格の中で最も難易度が高いとされています。
司法試験に合格し、さらに司法修習を修了しなければ弁護士としての業務を行うことはできません。
弁護士資格を取得すれば、裁判業務を含むすべての法律業務を行うことが可能です。
そのため、「法律の総合的なプロフェッショナル」と呼ばれることもあります。
司法書士の資格の特徴
司法書士は、主に登記手続きや簡易裁判所での代理業務を行うための資格です。
国家試験を合格し、司法書士登録を完了することで業務を開始できます。
さらに、認定司法書士になると、140万円以下の金銭トラブルについて代理業務が行えるようになり、より広い業務範囲が認められます。
認定司法書士と弁護士の権限の違い
認定司法書士は、簡易裁判所での代理業務や債権回収の交渉を行える特別な資格です。
ただし、対応できる案件の金額は140万円以下に限定されます。
これに対し、弁護士は金額の大小を問わずすべての案件に対応できるため、業務範囲の広さでは弁護士に軍配が上がります。

弁護士と司法書士に依頼する際の費用の違い
弁護士と司法書士に依頼する際には、それぞれ費用が異なります。
ここでは、費用の目安と比較ポイントについて説明します。
弁護士に依頼する際の費用の目安
弁護士に依頼する費用は、相談料、着手金、報酬金などで構成されます。
相談料は1時間あたり5,000円から1万円程度が一般的です。
また、着手金や報酬金は案件の内容や難易度によって異なり、高額な案件では費用も高くなる傾向があります。
司法書士に依頼する際の費用の目安
司法書士に依頼する場合、不動産登記なら数万円から十数万円、会社設立手続きなら10万円前後が目安です。
弁護士に比べると費用は抑えられるケースが多いです。
簡易裁判所での代理業務を依頼する際も、140万円以下の案件であれば比較的低価格で対応してもらえます。
費用面での比較ポイント
費用面での大きな違いは、案件の規模と対応内容です。
複雑で高額な案件では弁護士に依頼する必要がありますが、費用を抑えたい場合は司法書士を活用するのがよいでしょう。

弁護士と司法書士の対応範囲の違いを知ろう
弁護士と司法書士は対応できる案件の範囲が異なるため、依頼する前にそれぞれの専門性を理解することが重要です。
裁判業務における対応範囲の違い
弁護士は、簡易裁判所だけでなく地方裁判所や高等裁判所、最高裁判所での代理業務を行うことが可能です。
一方、司法書士は簡易裁判所での代理に限られます。
そのため、複雑な裁判や金額の大きい案件では弁護士を頼る必要があります。
登記業務における対応範囲の違い
登記業務においては司法書士が専門家として活躍します。
弁護士も登記を行うことは可能ですが、手続きの効率性や専門知識の観点から司法書士が選ばれることが多いです。
不動産登記や商業登記のほか、遺言書の保管制度利用などでも司法書士は頼りになります。
相談可能な案件の幅広さの違い
弁護士は法律全般に関する相談を受けることができるため、どのような案件でも対応可能です。
これに対して、司法書士は特定分野に限定されるため、相談内容に応じて選択する必要があります。

どんなケースでは弁護士に依頼すべきか?
弁護士に依頼すべきケースには、裁判に発展しそうなトラブルや金額が高額な損害賠償請求が絡む場合などがあります。
ここでは具体的なケースを見ていきます。
トラブルが裁判に発展しそうな場合
トラブルがエスカレートし、裁判に発展する可能性がある場合は弁護士に依頼するのが適切です。
弁護士は裁判所での代理人として、訴訟手続き全般をサポートしてくれます。
裁判所での弁護だけでなく、事前の交渉や書面作成、法的リスクの分析など、あらゆる側面で支援を行います。
特に高度な法律知識を必要とする場合は、弁護士を頼るべきです。
高額な損害賠償請求が絡む場合
損害賠償請求が140万円を超える場合は、司法書士では対応できません。
この場合、弁護士に相談する必要があります。
特に、企業間の契約トラブルや交通事故による高額な賠償問題などは弁護士の専門分野です。
金額が大きいほど、法的なサポートの質が重要になるため、経験豊富な弁護士に依頼することで、納得のいく解決を目指すことができます。
刑事事件に関わる場合
刑事事件においては司法書士では対応できないため、必ず弁護士に依頼する必要があります。
例えば、刑事事件での被告人の弁護、起訴前の弁護活動(示談交渉)などは弁護士の専門業務です。
逮捕や起訴などの緊急時にも、迅速に弁護士が対応することで、依頼人の権利を守ることができます。

どんなケースでは司法書士に依頼すべきか?
司法書士に依頼すべきケースには、不動産登記や会社設立手続きなど、特定の法律業務が該当します。
このセクションでは、司法書士が得意とするケースについて解説します。
不動産登記を行いたい場合
不動産を購入した際や名義変更が必要な場合は、司法書士が専門的に対応します。
不動産登記は法的要件が多く、手続きに不備があると後々トラブルになる可能性があるため、専門家に依頼するのが安心です。
司法書士は、不動産登記に必要な書類の作成や申請手続きをスムーズに行い、法的リスクを最小限に抑える役割を果たします。
140万円以下の金銭トラブルの場合
貸金や債務整理などの金銭トラブルが140万円以下の場合、司法書士に依頼することが可能です。
認定司法書士であれば、簡易裁判所での代理業務も行えるため、手軽に問題解決を図ることができます。
債権回収や少額訴訟などでは、司法書士がコスト面でもメリットがあり、迅速な解決が期待できます。
会社設立の手続きが必要な場合
会社設立時の商業登記や定款認証などの手続きは、司法書士が得意とする分野です。
これらの手続きは法的要件が複雑で、専門的な知識が必要です。
司法書士は書類作成から手続き代行まで対応し、スムーズな設立プロセスをサポートします。
コストを抑えたい場合にも適した選択です。
弁護士と司法書士の違いに関するよくある質問
弁護士と司法書士の違いについて、依頼者がよく疑問に思うポイントをまとめました。
選ぶ際の参考にしてください。
弁護士と司法書士のどちらに相談すれば良いか迷った場合は?
迷った場合は、まずは相談内容を整理し、案件の規模や種類を明確にしましょう。
費用や必要な対応範囲も考慮することが大切です。
弁護士・司法書士ともに初回の相談料が無料の場合もあるため、双方に相談し、比較検討するのも一つの方法です。
認定司法書士が扱える案件の範囲は?
認定司法書士は、簡易裁判所での代理業務や債権回収など、140万円以下の金銭トラブルに対応できます。
ただし、それ以上の金額が絡む案件や複雑な法律問題については弁護士の範疇となります。
認定司法書士は、特に費用を抑えて簡易な案件を解決する際に適した選択肢です。
弁護士と司法書士の費用差はどれくらい?
一般的に、弁護士の方が費用が高額になる傾向があります。
例えば、法律相談料は弁護士で1時間5,000円~1万円程度、司法書士では無料または数千円程度の場合があります。
また、手続きの複雑さや案件の規模によっても費用差が生じるため、事前に見積もりを依頼することが大切です。
弁護士と司法書士に依頼するメリット・デメリットは?
弁護士に依頼するメリットは、あらゆる法律問題に対応できる点です。
一方、デメリットは費用が高くなる場合があることです。
司法書士は特定分野の専門家であり、費用を抑えられるメリットがありますが、対応範囲に限りがある点がデメリットとなります。
案件の種類に応じて使い分けることが重要です。
まとめ:弁護士と司法書士の違いを踏まえて適切に依頼しよう
弁護士と司法書士は、それぞれ異なる役割と専門性を持つ法律のプロフェッショナルです。
どちらに依頼するかは、案件の種類や規模、予算に応じて選ぶことが重要です。
裁判に発展する可能性がある場合や高度な法律知識が必要な場合は弁護士、登記や簡易な法律手続きが必要な場合は司法書士を選ぶのが適切です。
最終的には、信頼できる専門家に相談し、適切なサポートを受けることで問題をスムーズに解決することができます。
この記事を参考に、あなたにとって最適な選択を見つけてください。